朝が来ない理由
梅昆布茶
いつのまにか夜だけがふけてゆくが
僕の朝はいつまでたっても来ない
時間の止まったままの時計をぼんやりと眺め
時系列のなかの無限の選択肢に思いを馳せる
ものごとを整理するには基準が必要だが
僕の本棚には雑然とした文字情報が果てしもなく列なっている
夏の面影が空に溶け込んでゆく日には
僕の好きな故郷の風景に似た草の道を歩いてみる
僕たちの生は限定されているが
精神はいつも自由な地平線を望み続けている
世界で一番役にたたないものを捜している
僕にとって醜くて懐かしいものがいつも自分の中に有る
幾何学模様の窓から僕たちの漂流する街へ
年老いた猫が僕の風景を横切ってゆく