地団駄
藤鈴呼
鉋の音が心地良く聞こえる冬一番
ここは北国
世の中は真っ黒でも
かの地だけは 真っ白に染まる
「御地では もう 雪模様なのでしょうね」
その一文に 黒い筆で認めた「否」
投函した瞬間に 空から米粒 舞い落ちる
白く小さな米粒に
何かしらの文字を描く行為は繊細
真似しようにも 技術なければ
いかんとも しがたい事実
書き殴れば 正月の目出度い席だから
咳払いも忘れて 賛辞の言葉ばかりで
埋め尽くされる状況とは 天と地
点画のように 幾つもの使者が
存在するでなし
描写したい心も
持ち合わせては いないのですから
こうなったらが 最後
カンナと言う名前の女性をつかまえて
この 銀色の柄を 持ち逃げしてもらうより他には
いたしかた ないのです
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