明日へとつぶやく夜のうた(一日の終わりに)
葉月 祐
ひび割れていく曇り空から
星の瞬きが姿を現す
雲は星の代わりに
夜空の川となり流れた
夜風に吹かれる度
川は進み
星が輝きながら返事をする
外では鈴虫が鳴いている
彼等の様に
素直にうたえたならと
聴き入りながら思う夜を
あとどれくらい越えたなら
独り言をこぼしながら
私は窓を閉める
風は微かに重く感じた
星の声も遠ざかり始めていた
明日にはおそらく
雨になっているだろう
窓越しの雲の川は
気付けばひとつの大地へと戻ってしまった
響き渡る鈴虫の声には
いつの間にか蛙が参加している
愉しそうにうたう
彼等がやはり羨ましい
そんな事を思った
明日は少しでも
上を向いて歩きたい
そこに太陽や星が無いとしても
そんな日々を重ねながら
何も無い一日にも喜びを見出だせた
あの日を思い出して
明日も丁寧に生きたいと
祈る様な気持ちで電気を消す
冷たい窓に触れながら
明日に繋がる夜空を見送る
微かに強まる風の音に
おやすみまたねと
そっとつぶやきながら