夜火
ただのみきや

山のむこうゆっくりと橙は灰
日暮れて暗く やさぐれて
苦楽の果てに捨てられた
途方に暮れてホウホウ鳴いて
ケルトの老婆アイヌの老婆
とろとろ炙る枯れた掌に
あまいこどものあたまのいたみ
うみなりのおととおくきおくのふかくくろい
鏃の壊疽の麻痺の悲しみの染み消せない
ケルトのキルトアイヌのニシキ
しなだれ身を任せる 爆ぜる薪へ
けむり白くうたいつづりながれ
あやしあやされながら
うたたねのうたかたの
生のむこうゆっくりと熾は灰
縫われ織られた絵柄も夢




          《夜火:2016年8月27日》








自由詩 夜火 Copyright ただのみきや 2016-08-27 20:13:31
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