金魚
百均
真っ白い炎が
咲き乱れて
花ちるさと
凍えるような涙で
殺菌する、
浴衣の模様を
黒地の頬を落ちる涙、
昔、
夏祭りに出かけて
一緒に金魚を網ですくった思い出がある
うちのお父さんが出資して打ち上げた
一本の花火を並んで
一つの机に腰掛けて
学校の校舎から
窓から見える花火が田んぼにキラキラと反射して見えた
亜久津君は次の日に転校してこの街から出て行った
同じ学年の子供たちが次々に疎開するように
四人程いなくなった夏の思い出
苦い夏の思い出だった
氷を口の中で転がして
氷結を飲む
今、俺たちは大人だ
なんとなく見知った女の子と手をつないで
夏祭りの夜を過ごしている
あ、金魚だ、となんとなく隣にいた女の子の面影を見て
一つ机の上に置いた、
去り際の花瓶の花を思い出す
凍った花模様の黒い水色の浴衣の上を
金魚がちょろんと波紋を立ててこっちを見ているよ