まだ、あいまい
葉月 祐


『愛について書きなさい』
なんて言われたら
僕はもう お手上げだ

知らないものは書けない
カバンの中に無いものは
スケッチすら出来やしない


『何となく知ってます』
そんな曖昧な答えしか返せない自分が
書いて良いものじゃない
それだけは よく分かる


だけど

だけど

もしも


この先 生きていく中で
愛というものに
触れる時が来たら

もしも
この手で このからだで
その感触を知る事が
出来る日が来るのなら


その時は
手持ちの言葉で
目一杯 精一杯
書きたいと思う

その時僕は
喜びで満ちているんだろうか
それとも
涙が先に溢れてくるんだろうか


僕はまだ 愛を知らない
なんなら他にもある
大切な事も知らない
だから楽しみで仕方がない

みんなもそうだったのかな


今は
まだ開かないその扉を描いている
スケッチブックを
一枚一枚 埋めながら


答えは言わないで欲しい
みんなもきっとそうだった様に
一番最初に知りたいのは
清書もされていない
自分だけの答えなんです




 




自由詩 まだ、あいまい Copyright 葉月 祐 2016-08-23 00:14:42
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