おんぶる
春日線香
幽霊になった幼なじみが働いているという
屋敷の廊下の先にしらじらと明るい一室があって
布団や卓が散らばる中で待っていると
いつのまにか差し向かいに座っているようだった
しばらく会わなかったが面影は感じられ
ただ、今は変わっているはずだからと
名前を呼ぶのはやめておいたが
もしかするといらぬ心配だったのかもしれない
そんな些細なことはいいとして
生前の話をいくつか
話しながら運ばれてきた料理をつまみ
そのいやに塩辛いのにも胸が詰まって
朝になってしまう前に
それじゃあそろそろと立ち上がって
よければまた来てほしいという幼なじみに
また必ず来るよと答えた