おんぶる
春日線香

幽霊になった幼なじみが働いているという
屋敷の廊下の先にしらじらと明るい一室があって
布団や卓が散らばる中で待っていると
いつのまにか差し向かいに座っているようだった

しばらく会わなかったが面影は感じられ
ただ、今は変わっているはずだからと
名前を呼ぶのはやめておいたが
もしかするといらぬ心配だったのかもしれない
そんな些細なことはいいとして

生前の話をいくつか
話しながら運ばれてきた料理をつまみ
そのいやに塩辛いのにも胸が詰まって
朝になってしまう前に
それじゃあそろそろと立ち上がって

よければまた来てほしいという幼なじみに
また必ず来るよと答えた


自由詩 おんぶる Copyright 春日線香 2016-08-22 22:43:13
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