月見草
st

        *** 月見草 ***

夜の空き地をさまよい  みえかくれする月光のゆらめきが
月見草にとどく頃には   夏の夜空は星影で満ちている

だれもいない       ひろい空間がざわめいて
ときおりふくかぜに    秋の気配はまだない

ゆれうごく        かげにおわれながら
逍遙のときはすぎてゆく


   *** 貝殻さがし ***

打ち寄せる なみがはこんできた
ちいさな桜貝がひとつ

ふかい底からやってきて
紺碧の海の砂浜にたどりつく

まぶしい夏のひざしが ふりそそぐ
波打ち際につづく貝殻さがし
 
素足にここちよい海水の冷たさ
はかないいのちのぬけがらを
ひとつひとつ集めてゆく



自由詩 月見草 Copyright st 2016-08-22 04:25:47
notebook Home 戻る