流星列車
やまうちあつし

列車が出る直前
ホームに目をやると
これまで出会った人たちが
一人残らず見送りにきていた
家族や友人は勿論
ほんの短期間関わりのあった人たちや
仲違いをして音信不通になった人たち
亡くなった祖父母や叔父まで
昔と何も変わらない姿で
僕はそれほど社交的な方ではないが
それでもけっこうな人数
ホームはごった返し
一般客に迷惑がかかるかと思いきや
無関係な人は一人もいない
車内を見渡すと乗客は僕一人
この駅も列車も
僕一人のためだったんだ
見送り客らは
なんてことない顔をしている
どうってことないよ
こういうものだよ
なんて言いたげ
君もそのうちの一人なんだね
あの日と同じマフラーに
あの日と同じ苦笑い
誰かが列車の外観を評して言う
まるで流星みたいだね
そうだよ
誰でも流星なんですよ
それが僕から伝える言葉
あの日と同じ手の振り方で


自由詩 流星列車 Copyright やまうちあつし 2016-08-21 18:08:54
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