手紙(誰にも届く事の無い、)
葉月 祐
出さない手紙を書いた
宛先も無い思いを
長々と ただ書いた
何の為かなんて 分からない
誰の為にもならなかった
紙屑みたいな言葉が
心の部屋の中
大量に溜まっていた
その言葉と対面する度
寂しさを抑えられず
悲しみまで暴れ出すので
とうとう疲れ果ててしまった
それでも
僕は手紙を書いた
誰宛てでもない思いを
つらつらと 丁寧に
たとえ誰にも届かないとしても
誰の傍にも寄り添えず
紙屑にもなれなかった言葉達は
手紙という形になった今
ようやく 眠りにつく事が出来そうだ
意味なんて無かった
投函すら出来なかった
それでも ここまで溜まった思いと
僕は向き合い
書き上げなければと思った
どうしてかなんて 分からない
行き先は ごみ箱の中で
読み手は 誰も居ない
紙屑になった 言葉達に
切手は 貼らなかった
読まれる事も無かった
便箋七枚分の君という存在を
僕だけは 覚えていようと思う