夕空の下の道
もっぷ

さよなら自分
こんにちは自分
歌っているのは夕空の下の
いまだあの頃 雁行を見上げながら
誰に向かって いつに向かって
泣いているのはやっぱり自分
忘れられない
忘れないから
そう言いながら何通もの遺書を
彼女に託して困らせてきた

さよなら自分 は今日への挨拶
こんにちは自分 は明日を夢みて
家路をたどる後ろ姿はひたすら今夜のシチューを想って

教えなければよかったのは
雁行 という言葉
六歳にとって夕空の鳥に
渡る姿以上が必要だったか
しってしまった 雁行 を携えて
今日も彼女は

さよなら自分
こんにちは自分
家路をたどる後ろ姿を決して振り向かせないのは 私



自由詩 夕空の下の道 Copyright もっぷ 2016-08-18 21:33:27
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