熱帯夜の爆弾
坂本瞳子

右耳の中に抱えた不発弾は
頭の芯を溶かすように
熱をじんわりと継続させる
一筋の涙が頬を伝うのに気づきもしない
耳の後ろのリンパ腺は腫れ上がらない
熱は永遠に下がらないのではないかと疑いたくなる
だからといって抗う術はなく
八つ当たりをする相手もいない
今宵もまた唸され
汗にまみれて
眠れぬ夜を過ごす


自由詩 熱帯夜の爆弾 Copyright 坂本瞳子 2016-08-15 23:04:00
notebook Home