【作品の前に】
シャンソン「枯葉」の歌詞作者 詩人プレヴェールの詩『夜のパリ』という作品の前後の
物語を詩にしてみようという企画がありました。
プレヴェールは第一次大戦、第二次大戦を経験しておられる方です。
とくに第二次大戦は 迫りくるファシズムの脅威、ナチスドイツのパリ侵攻や、
冷戦とか。 きっと戦争を知らない私にはなかなか分からない
大きな経験をしておられることでしよう。
逢いたい人に好きな時に逢うことなども困難なことが多かったろうな思います。
そのような困難な状況下の男女が お互いを求めあい、
なんとか やっと逢うことができて わずかな ともし火で お互いを確認し合う。
それがプレヴェール『夜のパリ』のような気が 私はしています。
【プレヴェール作『夜のパリ』の翻訳について】
stさんの翻訳に感銘をうけました。
http://po-m.com/forum/thres.php?did=320890&did2=31
stさんのご意見は
原文では"残りのくらやみ"とはならずl'obscurité toute
即ち、"完全なくらやみ"となるというお話に触発されて 私もこの詩のあとのシーンの詩を
書いてみることにしました。スレッド内でいただいた ご批評を頼りに若干の改稿をいたしました。
【完全な闇】*作者 るるりら
闇に身をゆだね 暗い溝を覗くかのような
淵に足をすくわれる思いに かられるとき
わたしには あのときのマッチ箱がある
町はあのころとちがって賑わっている
ティファニーの宝石のようなともしびが
凱旋門に つななっている
こんなに明るくとも
わたしの心には完全な闇がある
ダイヤモンドは暗がりでも輝くのだろう
でも わたしには完全な闇こそが 輝くのだ
ポケットに あのときのマッチ箱があるかぎり