黄昏時の老人
ヒヤシンス


 西の空に希望を背負った夕日が消えてゆく。
 黄昏た公園で私は老人を見た。
 ベンチに腰掛け自分の両手を見つめている。
 その時初めて私にも皺だらけの掌があることに気が付いた。
 
 深い年月を感じた。
 すっかり暗くなった公園で街路灯が点る。
 その下の老人は自分の影に吸い込まれてしまいそうに見えた。
 何か諦めに近いものを感じた。

 今日の日の希望は行ってしまった。
 明日になれば希望を背負った太陽が昇るのだろう。
 夏がやって来たのだから。

 気が付けばいつしか老人は消えていた。
 老人の微かな温もりが私に気付きを与えたのだろうか。
 それとも老人は私自身だったのであろうか。
 


自由詩 黄昏時の老人 Copyright ヒヤシンス 2016-08-10 04:50:46
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