炭酸
無地
炭酸の抜けたサイダーはただただ甘ったるい
引きずったままの10代が、だんだんとべたついてくる
群がる蟻で真っ黒に覆われていくさま
記憶が夢の中の出来事だったかのように、思い出せなくなるさま
知らない男の手がわたしの肌に触れる
炭酸の抜ける音がする、音がする
引きずったままの10代を、やめられない
蒸し暑い部屋の中でぼんやりと外を眺めた
セーラー服のスカートの裾から見える白い太もも
はじける
手に持っていたペットボトルを、握りつぶして
したたる
列をなす蟻をたどると、はるか遠くに淡いわたしがいる
炭酸の抜けたサイダーは、ただただ甘ったるいだけ