炭酸
無地

炭酸の抜けたサイダーはただただ甘ったるい
引きずったままの10代が、だんだんとべたついてくる

群がる蟻で真っ黒に覆われていくさま
記憶が夢の中の出来事だったかのように、思い出せなくなるさま

知らない男の手がわたしの肌に触れる
炭酸の抜ける音がする、音がする

引きずったままの10代を、やめられない

蒸し暑い部屋の中でぼんやりと外を眺めた
セーラー服のスカートの裾から見える白い太もも
はじける
手に持っていたペットボトルを、握りつぶして
したたる

列をなす蟻をたどると、はるか遠くに淡いわたしがいる
炭酸の抜けたサイダーは、ただただ甘ったるいだけ


自由詩 炭酸 Copyright 無地 2016-08-09 05:16:50
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