夏の雲
小谷りり

夏の雲

砂の山を作っては 崩れ 踏み潰されて何も言えず
部屋を散らかされ 怒りたくても ぶつける相手など
酒で酔っ払っては 足を滑らせ ひとり転んで
汚れた靴でとぼとぼ歩いて 人にぶつかっても謝れず

ダメな人間だとさげすむ前に
ひとりで線香花火をした
家の前なんかでやるから
夏に笑われたような気がした

あの白い塊はなんですかと人に問えば
おおかた、嘲笑されるのが普通だけども
あの白い塊はまるで自分を押し殺すような
鉄の塊そのものじゃありませんか

この蒸し暑い季節に
何度何度何度
声をあげ
泣いただろうか


自由詩 夏の雲 Copyright 小谷りり 2016-08-07 05:14:56
notebook Home