しみのあるスカート
はるな



薔薇柄のスカートに
あおいしみがある
食いしばりすぎて奥歯が四本欠けてる
カーテンレールには教科書から切り抜いた絵を貼っている
隣人の顔はしらないけど曲の趣味はだいたいわかる
壁がうすいから

冷蔵庫のなかであたまだけ熟れてしまった桃を剥きながら
きょうしなかったことを 並べていた それから
テレビをつけて けして
お湯をわかして
きょう だれのためにも祈らなかったわたしのことを 考える

輪は たぶんある
だから輪の外がわも ある
あなたはいたりいなかったりする
壁沿いにだれかたちが 花を飾る
そんなことしないで と言いたいんだった
でも結局 花を飾ることしか できないんだった
たちつくしたり 考えたり 考えなかったり、祈らなかったり
うたったり 憎んだり 愛したり ころんだり、やめたり
そういうことに たちどまるたびに
やっぱり わたしも 花を飾ってしまうんだった
そうして 部屋に帰って
結局しみのあるスカートを わざわざ選んで履いている





自由詩 しみのあるスカート Copyright はるな 2016-08-07 00:54:10
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