お弁当
藤鈴呼
大好きな あーちゃんの ほっぺたが
余りにも やーらかかったので
触ってみたいな って
そう 思って
取っ掛かりなんて
いつだって
そんなふう
耳元を さわっと吹く
やさしい 風のよう
沢山の具を 詰め込み過ぎて
窮屈になった
辞書みたいな お弁当よりも
日の丸 ひとつ
梅干しの すっぱさに
唇を 「す」の字にしてる
その方が ちょっと 自然
その 唇の横に くっついた
米粒 ひとつ
あぁ 可愛いね なんて 独り言
ひとりごちてる
あまりにも 嬉しくって
沢山の 具材を入れて
コトコト 煮込んだ
目にも 留まらぬ 速さで
最早 誰にも 真似できぬ
素敵な カレーライスが
出来上がったのだけれど
できあがったのだけれど
この 米粒を
何千個 積めば
美味しく なるのか
わかんない
あるいは 何万個 なのかも 知れなくて
米粒 一つの 小ささに
戦きすぎて
正確に 数を
打ち出せなかった
打ち負かされたって
それだけ
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