カノープス
アラガイs


ふと
遠くはなれてしまった人の姿が
無造作に表れてくる
胸の底が熱くなり
息が気にかかる
この頃は生きていることに感謝もしなくなり
死んだように生きている実感もわかない
ただ胸に手をあてて
夢の整理をはじめてみたりする
わたしが先に死んだらあの人は生きていられるだろうか
いまあの人が死んだらわたしは生きていられるだろうか
熱にうなされるように
夏の夜空は暗い

焼きつける朝の日差しが部屋中を隠らせている
心配になり訪ねてみれば
けろっとした顔で座っていたりする
無性に腹立たしくなり
部屋中の窓を乱暴に開け放ち
冷たい飲み物を口にする
新聞を手にとれば
救急車のサイレンが街を駆け抜けた

南の空に隠れた星は呟き
ひとつ夜がまわれば
消えては表れる影もある
瞬間に眼を逸らせば
永久に出合うことのない星
離れられないふたつの星
確かに生き続けたよ
、とある人は言う
忘れさるもの
忘れられない記憶
それさえも思い出せずにいる
ただ運命は戯れを欲し
誰かがそれを眺めている 。












自由詩 カノープス Copyright アラガイs 2016-08-06 00:26:41
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