白 こころ 白
木立 悟





息のなかに混じるもの
糸 粉 影 色
羽 羽 羽 羽
内に境に積もるもの


文字と文字が近づくと
青い光が現われる
水の底から
見つめる花びら


見張られていない菩提樹から
枝はあふれ 押し寄せる
息はやがて燃え上がり
むらさきの柱に空を刺す


呼びかけようとして呑まれた言葉
渦のような声のつらなり
みな異なるはじまりから来て
異なる径へとひらかれてゆく


白や白
さらなる白へ至る白
曲がり角 踊り場
溶け昇る白


ひとつの波 ひとつの曇
硝子の置き物をひたす海
羽の群れのなかの
ひとつの指


怒りと叫びの溝を雪は流れる
花を捨て鉄を捨て
岩は岩を刻みつづけ
空へ空へ叫びつづける


霧に噛まれる建物を
ふかみどりの径がすぎてゆく
羽はどこまでも大きく
どこまでも曇に寄り添ってゆく























自由詩 白 こころ 白 Copyright 木立 悟 2016-08-04 00:49:09
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