堕ちてゆく
坂本瞳子
眠るように
堕ちてゆく
空から一直線に
落とし穴へと向かって
洞窟のような
通路の中を
ただ真っ直ぐに
堕ちてゆく
一定のスピードで
速くもなく
遅くもなく
ぶれることなく
堕ちてゆく
恐れるものなどなく
堕ちてゆく
ひんやりとした
心地の良い風に
この頬を撫でられ
全身を包み込まれて
堕ちてゆく
もうきっと
地上に戻ってくることはない
そんな予感がする
今はただ
堕ちてゆく
絶望感などなく
愉快にも感じていない
ただ受け入れて
堕ちてゆく
行き先も知らずに
堕ちてゆく
自由詩
堕ちてゆく
Copyright
坂本瞳子
2016-07-29 10:24:28