流行歌
うめバア

古い家財道具を片付けながら
スピーカーから音を鳴らす
若いあの人の声が、聞こえてきた
突然の、夏だ
憧れの、あの季節
可愛かったあの子、すらりとした脚
どこかへ、何かへ、気持ちだけが走り出して
待ってよ、待ってよ

みんな年をとった
もう
それなのに

イメージどおりに老いが来たのではなく
時がすべてを
さらっていったのだ
嫉妬も、ねたみもいじわるも
苦しいほどきれいだったあたしもあの人も

思い出に埋もれた部屋で
こんなふうに午後が過ぎるなら
年を取るのも悪くないかもしれません
また夕暮れまでじっと
だんだん、わからなくなるまでね






自由詩 流行歌 Copyright うめバア 2016-07-28 14:26:25
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