切って縫う
DFW
夏の髪は濡れている
わたしの髪が揺れている
遠浅の海はそのなかで年老いていく
形態が機能に従い
それぞれの行為が所定の位置に置かれていく
気晴らしのような裁断の美しさは
それはそれとして分裂、いや放棄しながら
語りつくされないものの姿勢で縫製された
物乞いの上着のような夕空を
それぞれの面が最初の層に引かれ、めくれた空白の羽根となり
ワタリドリのように横断した
夏のうね曇にまでとどいた塔の貯水槽から
投与される
点滴 を 、
写実の
水粒を
奥
稠密する不毛性の
また
奥
に
推移しながら重ねられ
溢れながらも汲みあげられる
縫い針の限りのないインフォームドな投身
テーブルマナーの悪い静脈の影を仮どめしていた
マチ針が
はずれ
いましがた留置された
再生の胚芽に
いたり
疲れた子供たちと
まどろむ
比較的平らな円の角に寄りかたまり
まだ眠れずに夢みている
青い目の物静かな老女は
リメイクにはわりと向いた夕凪だと考えて
空をみあげる
ワタリドリたちが通りすぎた跡に重ねるハサミは傷のような矢印