瓶詰めの夢
藤鈴呼


その二つの縁が 
絡まるような角度を願って
すっと線を引く

描き始めた弧の
片側に あなた 
向こう岸に わたし

渡し船は 一層 
いっそう不安は募り 
物悲しいけど 大丈夫

バランス良く進めば 
太陽と言う文字が 
完成する筈だから

月明かりしか見えぬ夜に 
祈る言葉は皆無

全て忘れて 
眠ってしまいなさい

口を開けたままで 
ヨダレを垂らしなさい

水平線の向こうには 
待ち焦がれた笹船

揺られた瞬間 
水気を吸い込むから 要注意

時はおざなりにも 投げやりにも 
進んで行くけれど

立ち止まることなど 
決して出来ないのだから 大丈夫

留まった刹那 あなたは一つの 
星屑となる

ぐずった気持ちを 焼留処理にして
ゴミ処理場に 捨ててしまいなさい

今日は金曜日だから 
燃えないごみの日

瓶を出すまでは 
あと一週間もあるから平気

それまでに 中に入れるメッセージを 
考えておいてね

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自由詩 瓶詰めの夢 Copyright 藤鈴呼 2016-07-20 19:17:27
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