眠らない男
坂本瞳子

眠りたいのに
眠りたくない

眠りに堕ちるのが
怖くはない

あまりに眠すぎて
眠りたいという
感覚がもう
分からなくなった

眠りについたら
二度と目が覚めない
なんてことが
あるだろうか

眠らないと
なにがどうなるのだろう

眠らないでいる時間が
長く続くことが
恐いのかもしれない

いつまでも眠らずにいたら
なにが起きるのだろうか

眠らないことは
正しくない気がする

だから
眠らなければならない

そんな風に思っている
それだけのことだ

本当は眠りたいなんて
思っていないんだ

眠りたいなんて
大嘘だ

人と同じでなくていい
眠らなくていい

そうだろう


自由詩 眠らない男 Copyright 坂本瞳子 2016-07-20 01:30:10
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