翼と鉢巻
ガス抜き

険しい谷の崖っ淵
眼下にはうねる濁流

芸術家は
おもむろに背中から翼を生やし
かろやかに上昇気流に乗り
向こう側の崖に
降り立って見せました

芸術家は皆の喝采を浴び
伝説になり後世に名を残しました

だが後日
額に鉢巻を捩り
その崖っ淵に橋を架けた人達の名は
誰も知らない

みんなが手をつなぎ
お喋りしながら危険な谷を渡れる
橋を架けた人達の名を
誰も知らない

翼と鉢巻
どちらが偉いとか高貴とか
決めるつもりも無いですが
好き嫌いはハッキリしてる私です

私の思い通りになるのなら

銭湯の煙突のまわりとかを
フラフラ飛んでる
芸術家をもし見つけたら
スティンガー・ミサイルで
木っ端微塵にしてやりたいな

自称だろうが公認だろうが無差別に


自由詩 翼と鉢巻 Copyright ガス抜き 2016-07-18 19:49:23
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