センコウ/即興ゴルコンダ(仮)対象外
こうだたけみ


チチハ、

釣り用のベストと自作の竹竿とともに燃されたからきっと今も釣りをして遊んでいるので手向けるならば蚊取り線香だろうかナツノ、

炎天下に何度も自転車で往復した海岸沿いの道を私たちはもう行かない天気がよければ富士山が見えるなんていい病院ねってナツノ、

生まれの母は雷が鳴るとうれしそうにしていた夕立が上がり涼しくなった畳の部屋の窓辺に寄ると蛙が飛んだ奥から父は来るナツノ、

きゅうりやナスが採れた母方の祖父の家はもうない立て替えられた家はほとんど行ったことがない猫の足跡のついた壁がないナツノ、

足音が聞こえるそれは雷鳴とともに来る臙脂色のバンプラに乗って超えた碓氷峠の冷たい澄んだ空気のなかで黙り込む四人のナツノ、

ハジマリヒカル。


自由詩 センコウ/即興ゴルコンダ(仮)対象外 Copyright こうだたけみ 2016-07-15 21:42:16
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