vision.07
ひだかたけし

深い陰影の中に
浮かび上がって来る清流、
何処までも澄み切り柔らかに
無音の透明なイキモノそのもの
流れて在り 在り流れ

その岸辺からの平らな地面の広がりに
秩序正しく並び立つ無数の小地蔵
赤布を首に巻き付け
奥手暗がりへと放射線状に伸び消えいく

[此処は何処だろう?俺は誰だろう?]

問い掛けの反復、反響するうち
白い石垣越しに凝視していた意識 
突然落ちる
その刹那、

<今あなたは縁にいるのよ>

すごく近い彼方から
粘り着くような女の声 木霊する

<覚悟を決めなさいな>

木霊し続けるコトバ声 言葉超え言葉声


自由詩 vision.07 Copyright ひだかたけし 2016-07-13 18:23:40
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