酷龍
藤鈴呼


黒い粒が 干からびそうな勢いで
光を集めることも忘れて 泣いている

もう良いだろう
頭を撫でてくれる先生は 休養中
冬休みは 未だ先なのに
どうしようも なくなった
僕は くるくる

黒い竜が シャッターチャンスの ジャマをした
ブレた隙間に フェイントを 投げ込み パシャリ

小気味良い音 何度も響く
カシャ・カシャ・ かしゃ、かしゃ、滑車

滑らかな程に 打ち上げられた ホタルイカ
光 集まる 場所を求めて やって来るのが 億劫で
自ら 光を 発し 始めた

ちっ・・・ チカチカ ひか・ひかる
とても小さな 舌鼓
太鼓のバチも 当たらぬ位置で
×を 忘れようかと しているように

チリリ アルコールランプの袂で
置き去りにされたマツゲが 燃えている

イタイ イタイ
アナタのスベテがイタイから

ああ もう 全てを杯に 注ぎ込み
飲み干すしか なくなる夜に

★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°


自由詩 酷龍 Copyright 藤鈴呼 2016-07-05 17:42:10
notebook Home