思考シ.09
ひだかたけし

サンダルに小石が入ったので
右を脱ぐ、裸足歩道の上に
途端、俺は声上げる
うわっ 熱っ!

いよいよ猛暑襲来に意識朦朧と
短パン、Tシャツ、サンダル姿で
ドトールへふらふら向かっていたのだが
な なんなんだっ、生身に伝うこの熱さは!



朝から夏の太陽に焼かれ続け
歩道のアスファルトは
じりじりと足裏伝い
俺を剥いでいく

快感だ、陶酔だ、この灼熱は
俺の此処にしっかり在るを
その実在感を鮮明に意識、
感じ 理解し 認識し

瞑った眼の奥に
鐘の音、一つ鳴り
次第に渦巻き螺旋音階
紫藍の像の旋律、形造る

響きながら在るわたし
(楽器としてのわたし)
私という存在像の木霊して
奥処から在るの骨格、歌を成し



ふっと目を開ける
俺が草むらに倒れている
臨界点を超えてしまったらしい
けれどあの歌は未だ残響している

    あぁおぉうぅ
   あぁおぉ あぁいぃ       
    うぅえぇうぅ
    


自由詩 思考シ.09 Copyright ひだかたけし 2016-07-03 17:32:30
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