羽呼吸
砂木

朝に 山の頂上にいる山吉様に祈る
大きな杉の木 細かな葉の揺れ
ただ 裏山に向かい手をたたき
深呼吸を 幾度か繰り返す

すって はいて
大きく両手を動かし 空気を循環
鳥が羽ばたくように 願って望む
今日 一日 立ち続けられますように

山に生えている 木と何も変わらないのだ
あの空の雲と 空自身とも同じ
私がいて 空がある
空があって 私がいる
もう 望むものは少なく できることも少ない

だましだまされたと 泣けば泣き言
楽しみ楽しませたと 笑う 繰り言

ただただ 深呼吸のおくられるずっと奥にも
月はある ぽっかりと くきりと 光り

呼吸して 羽ばたく練習を重ねて
心の鳥は 朝 胸の鳥篭に入る
山吉様 おたのもうします

歩み 祈り 望む
飛ばない ひとつの衛星でも 
つまづかれもしない 潰された小石でも
影を連れ 羽を真似る

 


自由詩 羽呼吸 Copyright 砂木 2016-07-03 10:59:06
notebook Home