キャタライザー
DFW



夜中になって冷蔵庫を漁りだすわたしの
浮腫んだ足の指と
古生代石炭紀からきたゴキブリが
であいがしらにごっつんした

このままひとおもいに踏み潰してやろうか
それともわたしの身体をつたいわたしの口のなかに迷いこんだところを噛みきってやろうか


不吉な触角をヒクヒクさせて
フリーズしたわたしの外反母趾にそってあらたに動きだし
そそくさと冷蔵庫の裏の闇に消え失せた
レトロな回転ベッドのような夜の都市を啜る
金のメダルをかけた原始的昆虫


退行していく闇に欲情したわたしは
わずかなモーター音のする冷蔵庫を力一杯閉めた

アパートの住人たちはバルサンを焚き
部屋の鍵を閉めて傘を買いにいった
わたしは素っ裸になって
とっくに冷えきった湯船に浸かり
陰毛や脂が浮かんでいる水面ぎりぎりを
じっとみつめてやった




自由詩 キャタライザー Copyright DFW  2016-07-01 01:51:43
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