アンダー
川津 望
六月の歩行
脳は油漬けのツナ缶だ
余分な油分を切らないと会話すらできない
スーパーの
しんせんな野菜とおじさんの動作は甲殻類の一種
れたすを手ではかるように
わたしの頭の重さ
見直してくれ
スーパーでは
わたしは発狂しているため
すみやかにこの場所から
消えるべきで
そうすることで今、ここにふくしゅうする
もろはと言えば紙や皮膚に刻まれるものは
みんなそうだから
いないわたしは
失われた市場だ
蚊取り線香のにおいと共に
冷気がとざされ
鼻の先で鴉が生ゴミをつつく
あふれる人間がわたしに土足で入ってくる
「缶切りをください」