苦しみの心
坂本瞳子

苦しいのは
心だろうか

嗚咽が出そうになる
心臓が飛び出しそうな
魂が抜け出していきそうな

この苦しい想いは
どこからやって来るのだろう

そしてこの苦しい痛みを
どうやって消せるのだろう

必死になってもがくのに
苦しみは消せない
だのに時が過ぎると
忘れてしまうこともある

生涯をかけて
抱え続ける苦しみもある

苦しんでいるのは
私の心なのだろうか
彼の人の苦しみを知るだけでも
心が掻き毟られる想いをし
涙が頬を伝い
打ちのめされることもある

あなたの心も
苦しいことがあるだろうか

だからこそ
傷を舐め合う人たちがいるのだろうか
私の苦しみも舐めてもらうことで
癒されるのだろうか

苦しい心は
どこへ向かっているのだろうか
私の心が苦しんでいるのに
癒す術を知らず
ただこのまま
血を流し続ける

そのうち大鴉が傷口を見つけて
抉りに来るだろう
そのときも私はきっと立ち尽くし
抗うこともできず
さらに深い傷を負い
悲嘆にくれ
救われない心を曝す

苦しいのは
心だろうか


本当に苦しんでいるのは
心だけではなくて
私そのものだろう


自由詩 苦しみの心 Copyright 坂本瞳子 2016-06-26 23:05:11
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