夏の影
レタス
八月の空を待ちながら
フィルムカメラを磨いている
デジカメでは表現できない空気を求め
静かな予感に浸る
入道雲の空の下
ダリアがとても美しい
ぼくの写真は
時計に逆らいながら
ノラ猫を追い続け
海岸の中華そば屋で一服
まどろみの中で
真夏の汗を乾かし
釣り人の釣果に耳を傾け
ソバを啜る
店の老女は明日の天気と
近所の噂を
ぶつぶつと唱え
何度となく
注文を聴き返し
ぼくはモノクローム写真を撮り続ける
あの夏の日
自由詩
夏の影
Copyright
レタス
2016-06-25 01:57:00
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