治癒

古傷は
ばんそうこうで隠し紛らわせても
消えることなく
ふとした拍子に剥がれてしまう。
私の
持つ自然治癒力では
どうしようもない傷なので
外界へ
ばんそうこうを探しに行く

この痛みを人に伝えようにも
伝わることなく伝える術も知らない。
私は1人
痛みにじっと耐えながら
開いた傷をまじまじと見つめ
この世の全てを呪う。

そこへ一編の詩
この世界のありとあらゆる詩の中から
私のとこに届いた一編の詩。
この詩は
歌となり私の身体に入ったかと思うと
私の血小板やマクロファージとなり
より強力なばんそうこうへと変わった。

そういえば、
この身体を傷つけたのも
ばんそうこうを作ったのも
私だった
ふと気づいた。


自由詩 治癒 Copyright  2016-06-23 19:43:23
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