治癒
枝
古傷は
ばんそうこうで隠し紛らわせても
消えることなく
ふとした拍子に剥がれてしまう。
私の
持つ自然治癒力では
どうしようもない傷なので
外界へ
ばんそうこうを探しに行く
この痛みを人に伝えようにも
伝わることなく伝える術も知らない。
私は1人
痛みにじっと耐えながら
開いた傷をまじまじと見つめ
この世の全てを呪う。
そこへ一編の詩
この世界のありとあらゆる詩の中から
私のとこに届いた一編の詩。
この詩は
歌となり私の身体に入ったかと思うと
私の血小板やマクロファージとなり
より強力なばんそうこうへと変わった。
そういえば、
この身体を傷つけたのも
ばんそうこうを作ったのも
私だった
ふと気づいた。