君の根
opus

風が吹いて
木の枝についた
葉が揺れる
君はそれを見ながら
微笑む

頭のとれた蟻の触覚が
プルプルと動く
頭が揺れる
目の色が段々と失われ
動きも止まる

コンクリートの上
ギターを弾く
男が一人
その前に女が一人
3曲ほど聞いたところで
ズボンのポケットをゴソゴソと探る
取り出した飴を
男に差し出す
「そんなんいらねぇわ」

僕の心の震えが
君の震えとは限らない
でも、それは確実な感動で
それを味わって欲しくて

雨が降る
目を閉じると
雨垂れの音と
むっとする
樹々の香り
目を開けると
君の冴えない顔

「何か?」
「何でもないよ」
「それで?」
「どうでもいい」


自由詩 君の根 Copyright opus 2016-06-19 20:04:09
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