監獄の朝
ミナト 螢

立入禁止のスイートルームで
締切間近の原稿を書くと

昨日まで普通に見ていた空が
今日は灰色の壁に塗り変わる

バゲットとチーズとワイン片手に
イマジネーションの旅を始めても

憧れの猫脚のバスタブで
寝過ごしてしまった午前四時

こんなに広い天井の下で
マッチ棒のような私はこのまま
倒れて火を出し火傷する程
創作意欲に溢れているのに

何ひとつ言葉を残せずにいる
貧しい心を見透かすような
私の頭にシャンデリアは邪魔だ


自由詩 監獄の朝 Copyright ミナト 螢 2016-06-18 20:43:20
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