月と天使
ヒヤシンス
月の調べにうっとりとする今日の夜だ。
幾千幾万もの光の帯が私の窓辺にやってくる。
天上の彼女は奏でる。
今日も一日幸せな日だったと。
深紅に染まったローズヒップティーを飲みながら
彼女の優しい歌声を聴く。
子供の静かな寝息が聞こえる。
日常の美しさに天使達も微笑んでいるようだ。
神がいるとするならば私はチャンスを与えられたのだ。
隣で寝ていた妻が目を覚ました。
私は妻を窓辺に呼んで二人で月を眺めた。
今夜の月は美しい。
私ら二人無言で月の調べに聴き入った。
そして見た。月の母性に導かれて天上に駆け上る天使達を。