月と天使
ヒヤシンス


 月の調べにうっとりとする今日の夜だ。
 幾千幾万もの光の帯が私の窓辺にやってくる。
 天上の彼女は奏でる。
 今日も一日幸せな日だったと。

 深紅に染まったローズヒップティーを飲みながら
 彼女の優しい歌声を聴く。
 子供の静かな寝息が聞こえる。
 日常の美しさに天使達も微笑んでいるようだ。

 神がいるとするならば私はチャンスを与えられたのだ。
 隣で寝ていた妻が目を覚ました。
 私は妻を窓辺に呼んで二人で月を眺めた。

 今夜の月は美しい。
 私ら二人無言で月の調べに聴き入った。
 そして見た。月の母性に導かれて天上に駆け上る天使達を。


自由詩 月と天使 Copyright ヒヤシンス 2016-06-18 01:58:59
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