回帰的なスペースモンキー
秋也

あいつは猿だった頃から
金色の球体を見上げて
いつかあそこに辿りつくのだろうと
嬉しそうに笑っていたよ

道があって扉があって
誰もが歩いている
ドアノブはよく冷えているし
二人で触れたい

鍵穴を覗けば
赤い球体がぶつかりあう
小さくなればしゃぼん玉のように割れ
虹を弾きだす

我々は猿にもなり切れず
猿にもなれず
それでも猿だった頃より遥か昔
あいつのように見上げていた
恐ろしく遠いところから来たのだから
高い高い灰色の塔だって周り続ける

複数の金色の球体は多数
やがて大きな一つになる
青と赤のインクが入った液体式砂時計
ノスタルジー玩具

空を見上げ
地に花を見つけ
愛しい人と見つめ合い
大切な人と手を繋ぐ

そうしたらあっという間

我々は遥か遠くで
今だに猿より儚く
ちょうどよい球体を探し
憐れで可憐

それでも自他に美を感じ
圧倒的に優しく
多色の球体でも愛し続けられ
無限と刹那を歩き続ける

創られ産まれ
増殖増殖
やがて上に喜んで打ち上げられる
猿とは違う
でもやっぱり猿みたいなモノ

最高の笑顔が出来るし
最高の笑顔をあげられる
柔らかい球体
無色と狭間がずっと先で待っている


自由詩 回帰的なスペースモンキー Copyright 秋也 2016-06-18 01:01:32
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