心の膿
ヒヤシンス
キャンバスいっぱいに塗りたくられた真っ赤な背景に
ピエロの肖像画が悲しい瞳を私に向ける。
有無を言わさぬその迫力に思わず目を背ける。
その時私はやましいのだ。
そのほとんどが直線で描かれているその絵画は
怒りなのか、それを通り越した悲しみなのか。
すべての人に向けられているはずのその瞳は
今この瞬間だけは私一人に向けられている。
自己肯定できない私は恐ろしい。
自己否定もろくに出来ない私は
熟したトマトをその絵画に投げつける。
怒りだ、怒りが足りない。
真っ赤に染まったキャンバスの奥から悲しみの瞳が覗く。
そして私は行為によって心奥に溜まった膿を吐き出すのだ。