化石
梥本 サハラ

背中にへばりついて取れなくなった
アノマロカリスは気付けば苔むしながら
僕を覆う全身の鱗のようになって
まるで貴女を忘れたみたいに
背だけが伸びた針葉樹を
なぎ倒す最後のダイナソーに
なってゆく。
洗濯物をたたむ始祖鳥を
横目に鱗のひとつひとつに
意味を探しながら夢中の
まるで地中深くに眠る
化石のようであったのだから。
がわがわと回る扇風機に身を
任せながら僕はもう
最後のダイナソーとして
眠りにつくのだから。


自由詩 化石 Copyright 梥本 サハラ 2016-06-14 00:16:13
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