古代のパラドックス 
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明夫は雅子を愛している 片思いだ
今日こそはこの愛を 打ち明けようと決心した

雅子に逢う為に その家の前で
出て来るのを待っている やっと出てきた

その後を追いかけて行く ところが不思議なことに
いつまでたっても  追いつけない

雅子はゆっくりと 歩いている
明夫ははやあしで 追いかけている

それなのに  いつまでたっても
追いつけない  いったいこれは何なのか
追いつけない  まるで悪夢のようだ
 
ついさっき雅子が通った 郵便局の前にきている
雅子はそのちょっと先を ゆっくりと歩いている

まだ追いつけない  追いついたと思ったら
いつも雅子はそのちょっと先を ゆっくりと歩いている

追いつくには必ず 雅子のいた場所へ行かなければならない

その時にはすでに 雅子はそのちょっと先を 
ゆっくりと歩いていて 追いつくことができない

このようにして永遠につづき 追いつくことができなかったのだ

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ゼノンのパラドックス アキレスと亀より

** 実無限を仮定するとおこるパラドックスです。仮に5分で雅子
に追いついたとすると、そのために通過すべき地点は永遠の
サイクルとなり、無限個あるので、その地点を1、2、3---と
順に書き出していくと、追いついた時は、5分で自然数を全て
書き終えるということになり、それは不可能で、雅子に追いつ
けないことを意味します。

実際は簡単に追いつけるので、まさにパラドックスです。
他の3つのパラドックスを組み合わすと、何をもってしても
解決が困難なもののようです。このパラドックスでは、すでに
開始された運動も完了できずということになり、さらに

・二分割のパラドックス---運動は開始できない
・飛矢のパラドックス----場所の移動は不可能
・競技場のパラドックス---時間は無制限に分割可能

尚、これら古代のパラドックスについて、ウィキペディアでは
これらが解決されているような記述がありますが、各パラ
ドックスの説明が不完全であり、間違っています。

現代数学が解決したなどというのは、新たな公理を追加したり、
修正してこれらのパラドックスがないようにした数学モデルに
すぎず、それが偶然ニュートン力学などと親和性が高いもの
であるということに過ぎません。


自由詩 古代のパラドックス  Copyright st 2016-06-13 05:13:34
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