「トリ・トリップ」 一〇首
もっぷ

コウノトリ卵か赤子かキャベツの畑シチューのニンジン余所の星から


カタカナのルビはいやだよひらがなでぼくたち鴉を読めない子には


かあさんはカケスだったといま知った道行くヒトがそう云っていた


うつくしい空とはかつてデュオでした憶えていないヒバリに寝癖


つながれて器が遠く届かないポチのごはんはカラスのごはん


鳴かないならば鳴くまで待つとか云ってるよ翻訳するとたぶんそうだよ


カルガモのかあさんは「もう母じゃない」子に諭す今夜汽笛鳴る


雁行というと地味だし修業みたいぼくたち平成バージョンがほしい


ふるえてる黒い翼のかなしみをわけてください歌にするから


小鳥泣くほとりを越えてぼくたちが中央線から遠くなる夜



短歌 「トリ・トリップ」 一〇首 Copyright もっぷ 2016-06-13 03:14:13
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三十一文字の童話『flip side』