箱のなか
あおい満月

明日からまた、
雨の一日がはじまる。
灰色の視界は、
私を箱に残したまま。

箱のなかには、
脱いだままの服や、
読みかけの詩集たちが、
底のない目で私を見ている。

伸ばしっぱなしの髪の毛の先が、
ゆくあてのないまま、
ふたつにわかれている。
鏡に映る寝不足の神様。

耳の奥底で、
アヴリルは不機嫌そうに、
ラヴソングを歌う。
耳朶に咲く架空のピアスホウル。

鍵を閉めて外へ出る。
誰かが引いた鎖のあとを、
たどりながらいつもの場所へいく。
あなたに言い出せないことを抱えて。



自由詩 箱のなか Copyright あおい満月 2016-06-12 11:07:33
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