初夏
瑞海



初夏の風が
私の皮膚を剥がして
新しいわたしが現れる

つまらない
音や物を振り払って
白い光に溶けていく

それはまさに
ブラックホールに
飛び込むように
冷たくて端的で
柔らかくて短い

刹那的で良い
儚く散る私

君が笑うと
心に穴が開いて
そこには新しい水が入って
また生きるを始めるサイクル

若葉の匂いが鼻に抜けると
陽だまりの中の花畑に立って
泣いていた君を思い出すよ

その涙は花畑を浸していって
100万年かけて海になった

世界が始まっていたそこは
もう地球上に現れない

刹那的で良い



自由詩 初夏 Copyright 瑞海 2016-06-12 00:30:21
notebook Home 戻る  過去