初夏
瑞海
初夏の風が
私の皮膚を剥がして
新しいわたしが現れる
つまらない
音や物を振り払って
白い光に溶けていく
それはまさに
ブラックホールに
飛び込むように
冷たくて端的で
柔らかくて短い
刹那的で良い
儚く散る私
君が笑うと
心に穴が開いて
そこには新しい水が入って
また生きるを始めるサイクル
若葉の匂いが鼻に抜けると
陽だまりの中の花畑に立って
泣いていた君を思い出すよ
その涙は花畑を浸していって
100万年かけて海になった
世界が始まっていたそこは
もう地球上に現れない
刹那的で良い