オルガンと首
wakaba
がらんどうの音楽室
壊れたオルガンを解体している
ばらばらと散らばる鍵盤
わらわらと湧いてでる歯車
錆びたネジを引き抜いたら
マネキンの首が転がり出てきた
どうしてだろう
いつも窓際に座っていた
あの子の顔を思い出せない
どうしてだろう
黒板にふざけた絵を描いてた
あの子の顔も思い出せない
それはたぶん
このマネキンの首
のっぺらぼうだから
誰もいない音楽室
もう元に戻らないオルガン
もう二度と奏でられない音色
鈍いめまいを我慢して
僕はひとり立ち上がって
マネキンの首
無表情で窓から優しく投げ落とした