鳥の棲む花
木立 悟
雷鳴の腕の輪
静かに降る蒼
光は燃える
ひとつのしるし
星を知らない人に
星を教える言葉
ひとりの背には
降らない言葉
荒涼とした灯の連なりを
鳥の影がすぎてゆく
誰にも顧みられなかった
小さな俳優の手がまたたいている
星を知らない人に
星を教える声がする
姿を見ることができないまま
ただそこに立ちつくしている
渡せない手に
結べない手が触れ
時がはじまり
間がはじまる
蜘蛛の足音
川をゆく火
底につもる影
花に映る羽
昼の雨が生まれては去り
通りから絵は取り外され
手のひらの無にはじまるもの
透明な蕾の空を見る